- 土木施工管理の経験がまだ浅いんだけれど…
- 自分の市場価値が分からないので、転職活動をするべきか分からない
- キャリアアップの転職が可能かどうかを教えてほしい!
終身雇用が崩壊して転職が当たり前の時代になりつつある日本。建設業界においても、キャリアアップ目的の転職を視野に入れている人は多いはず。
私自身、ゼネコンで土木施工管理を1年経験した上で、今後どのようなキャリアを積み上げていけば良いのか悩んでいます。まずは現在の市場価値を知る必要があると考えた私は、実際に転職活動を行いました。
そこで本記事では、ゼネコンで土木の現場監督を1年間務めた私が転職活動した結果をお伝えします。この記事を読めば、「土木施工管理歴1年の市場価値」が分かります。
私が約1ヶ月間転職活動をした経緯を事細かくまとめました。土木施工管理職からのキャリアアップを考えている方は是非読んでみてください。
【結果】転職せず(提示年収の最高額は450万円)
今回の転職活動の中で、最も高かった提示年収は450万円でした。提示していただいたのは、大阪に本社を置いている建設コンサルタント会社です。しかし、現在の年収よりも下がることから、最終面接に進む前に転職活動をやめる決断をしました。
転職活動の結果はこちらです。
- 応募数:36社
- 書類選考通過:6社(内3社辞退)
- 1次面接合格:3社
- 最高提示年収:450万円
【前提条件】転職活動時の経歴と転職条件について
転職活動時の経歴と転職条件は人によって大きく異なります。これらの前提条件は、転職エージェントとの面談時に転職活動の方針を決める上で重要です。
まずは、転職活動をした際の私の経歴を紹介します。
- 旧帝大大学院卒
- 新卒でゼネコン入社
- 26歳男性(転職活動時)
- 土木施工管理歴1年
- 年収600万円

社会人1年目の3月頃に転職活動を行いました。
また、今回の転職活動における条件は下記の通りです。
- 業界や職種の希望は特になし
- 転職後数年間は関西で勤務できること
- 数年経てば東海道新幹線圏内(東京〜博多)で転勤可
- 残業時間は20時間以内



関西に絞って会社を探しました。
勤務地指定なし、転勤可の条件であれば、結果は変わるはずです。
【面談・書類選考】利用した転職エージェントについて
今回利用した転職エージェントは下記の3社です。
- マイナビAgent
- 株式会社ワークポート
- 株式会社Maenomery
まず始めに、マイナビAgentに登録しました。登録した時点でマイナビAgentスカウトを通して他の転職エージェントからもメールが来ます。メールを受け取った中で、利用したのがワークポートとMaenomeryです。
マイナビAgent : 他業界も含めて幅広い求人を紹介


マイナビAgentを利用した転職活動の流れは上記の通りです。1次面接が決まるまでおよそ2週間かかりました。
マイナビAgentを利用して良かった点はこちらです。
- アドバイザーの面談が丁寧
- 幅広い業界の求人を提示してくれる
- 書類の添削が丁寧
最初の面談で、私の希望条件を丁寧に聞き出してくれました。面談で話すことで考えが整理できたので、思い立ってすぐに転職活動を始めた私にとっては、非常にいい機会でした。私がワークライフバランスを求めている点を重視して、他業界への転職を強く勧めてくれました。他の業界の求人を見ることができたおかげで、土木へのこだわりを再確認できました。



建設業界以外の求人は、年収300万円前後がほとんどです。
完全未経験になるので、どうしても建設業界より年収が下がります。
マイナビAgentの悪かった点はこちらです。
- 建設業界の求人が少ない
- メールでのやり取りが面倒くさい
- 日程調整に少し時間がかかる
ゼネコンや建設コンサルタントの求人は、比較的少なめでした。アドバイザーは他業界への転職を勧めていたからかもしれません。建設業界の求人も、比較的条件の厳しいもの(資格必須・転勤必須)が多かったので、書類を提出した6社のうち、1社しか通過しませんでした。また、アドバイザーとのやり取りがメールなので、日時調整に1週間ほどかかります。今回は1次面接の日時が決まる前に転職活動を終えたので、面接を辞退することになりました。



土木施工管理歴1年の場合、建設業界でワークライフバランスを実現するのは難しいとアドバイザーは教えてくれました。
年収アップと働き方改善の両方を望むなら、1級土木施工管理技士や技術士の資格が必須とのことです。
株式会社ワークポート : 建設業界の求人を多数紹介


株式会社ワークポートを利用した転職活動の流れは上記の通りです。約3週間で最終面接日時の調整まで至りました。今回利用したエージェント3社の中では、最もアドバイザーの対応が良く、親身になって転職活動をサポートしてくれます。
株式会社ワークポートを利用して良かった点はこちらです。
- アドバイザーとの面談がスムーズ
- 企業への紹介状を作成してくれる
- 建設業界の求人が多数
- アプリのチャットで連絡できる
- 面接のサポートが手厚い
- 選考辞退の対応が迅速
株式会社ワークポートを利用する場合は、まず始めに履歴書と職務経歴書をアドバイザーに提出します。そして、アドバイザーとの面談を行います。私の経歴や転職条件をあらかじめ理解した上で面談してくれるので、求人紹介までが非常にスムーズです。



面談では、書類内容の確認と深掘りを行います。
こちらの希望を良く理解した上で、求人は土木業界に絞るべきと提案してくれました。
面談の後は、履歴書と職務経歴書とは別に、企業への紹介状をアドバイザーが作成してくれます。面談内容をもとに、経歴や希望、人柄などをアドバイザー目線でまとめたものです。特に、あらかじめ企業の採用担当者に第三者目線で人柄を伝えることができる点は魅力的です。
私がアドバイザーに紹介してもらった建設業界の求人は、30社でした。内訳は、ゼネコンが6割、建設コンサルタントが3割、発注者支援業務が1割です。とりあえず全ての求人に応募した結果、ゼネコン3社と建設コンサルタント2社の書類選考を通過しました。建設業界の求人数が多く、土木施工管理歴1年でも書類選考通過できたので、建設業界での転職を希望している方にはおすすめのエージェントです。
また、専用アプリを利用してアドバイザーとチャットできるので、選考結果や日程調整の連絡が非常に円滑です。面接前後のサポートも手厚く、安心して面接に臨むことができました。5社との最終面接の日程調整を行っている途中で選考を辞退しましたが、企業へのアフターサポートも迅速でありがたかったです。



株式会社ワークポートの悪かった点は特にありません。
転職活動をする際は、もう一度利用したいエージェントです。
株式会社Maenomery : 土木施工管理歴1年の場合は求人紹介なし


株式会社Maenomeryを利用した転職活動の流れは上記の通りです。約2週間利用しましたが、選考は全く進みませんでした。そのため、利用して良かった点は特にありません。土木施工管理歴1年で転職活動をする場合、全くおすすめできないエージェントです。おすすめできない理由を以下に列挙します。
- 求人紹介までに面談が2回必要
- 面談日程がなかなか合わない
- 建設業界の求人が全くない
- レスポンスが非常に遅い
他の転職エージェントとは異なり、求人紹介までにアドバイザーとの面談が2回必要です。しかし、平日の夜はアドバイザーの予定がほぼ埋まっており、日程調整がなかなか進みませんでした。結局2回目の面談をせずに求人紹介をしてくれることになりましたが、1週間経っても連絡はありませんでした。そして最終的には、紹介できる求人はないと断られました。



土木施工管理の仕事は、日中に面談を行うのが難しいので、平日夜の対応が難しいのは致命的でした。
【面接】1次面接で意識したこと
株式会社ワークポートを利用して書類選考を通過した5社のうち、1次面接があったのは3社でした。内訳はゼネコン1社と建設コンサルタント2社です。結果的に3社とも1次面接を通過することができました。面接に臨むにあたって私が意識したことは、下記の3つです。
- 明るくハッキリと話す
- 企業の強みを志望動機に結びつける
- 職務経歴よりも今後のビジョンを話す
明るくハッキリと話す
面接の際は、とにかく明るく元気に話すことを心がけました。建設業界は人と接する機会が多いので、コミュニケーション能力が重視されるからです。企業側の目線で考えると、会話が苦手な人にコミュニケーションの必要な仕事を任せるのは不安ですよね。建設業界での転職をしたい場合は、明るい人柄をアピールすることは特に重要です。



私は、今の仕事を楽しんでいることもアピールしました。
建設業界で働く適性があることを伝えられるからです。
企業の強みを志望動機に結びつける
面接の際は、必ず志望動機を尋ねられます。その際は必ず、企業の強みに魅力を感じたことを伝えました。「御社だから働きたい」というメッセージになるからです。もちろん本音は「年収を上げたい」や「労働環境を改善したい」かもしれません。企業の採用担当者も事情は分かっています。しかし、本音の理由を志望動機にしてしまうと「どの会社でも良いのでは?」と思われてしまいますね。企業が何に注力しているかを理解した上で「御社の〇〇に魅力を感じています。」と伝えることが重要です。



私は面接直前に企業HPと求人票に目を通して、共通している強みを探しました。見つけた強みをあらかじめ深掘りしておくことで、志望動機はもちろん逆質問にも活かせます。
職務経歴よりも今後のビジョンを話す
面接では必ず職務経歴書に書かれている内容について質問されます。その際は「○○の経験を活かして今後は△△の業務に携わりたい」と答えました。土木施工管理歴1年では、他の人と差がつく職務経歴は特にないからです。1年間の経験を語ったとしても、企業側の目線で考えるとたいした内容ではありません。それよりも「今後うちの会社に入ったら活躍してくれそうだな。」と思わせるようなキャリアプランを話す方が効果的です。
【振り返り】転職活動を通じて分かったこと
今回の転職活動で最終面接まで進んだのは5社でしたが、年収アップの転職が不可能であると判断したので、最終面接前に全ての選考を辞退しました。転職自体は成功しなかったものの、土木施工管理歴1年目の市場価値を知ることができたので良かったです。転職活動を通じて私が分かったことは主にこちらです。
- 他業界への転職は年収が大幅に下がる
- 建設業界でも年収アップの転職は難しい
- 転職活動は今後のキャリアを考える最高の機会である
他業界への転職は年収が大幅に下がる
マイナビAgentのアドバイザーには、土木業界以外の求人を数多く紹介してもらいました。完全未経験の第二新卒枠になり、提示年収のほとんどは300万円前後でした。残業代を考慮すると単純な比較はできませんが、基本給で考えてもゼネコンから他業界への転職は、年収が大幅に下がります。施工管理という職種が他業界には存在しないからです。例えば、営業職であれば経験を活かして別の業界で活躍することが可能です。しかし、施工管理職は建設業界に限られた職種なので、他業界に転職する場合はどうしても未経験扱いになってしまいます。年収ダウンは避けられません。



建設業界を選んだ以上、他の業界で今の経験を活かすのは難しいという事実を痛感しました。
逆に、建設業界がどうしても合わないと感じている人は、なるべく早く他業界に転職してキャリアを再形成するべきです。
一旦年収は下がりますが、転職が早ければ早いほど他業界で通用する経験を積み上げることができます。
建設業界の転職でも年収アップは難しい
ゼネコンから同じ業界に転職する場合でも、年収を上げることは難しいです。私は、株式会社ワークポートを通して、建設業界30社の書類選考に応募しました。しかし、年収500万円以上の求人は全て書類選考の時点で不合格でした。最終面接までたどり着いた5社の中で最も高い提示年収は450万円、その他は400万円前後という結果です。企業の採用担当者曰く、「1級土木施工管理技士や技術士の資格がないのでキャリア採用はできない。」とのことでした。建設業界で年収アップの転職を成功させるためには、資格が必要不可欠であると分かります。



特に院卒の方は、年収ダウンの可能性が高いです。
第二新卒で転職する場合、院卒の経歴が考慮されない場合があります。
転職活動は今後のキャリアを考える最高の機会である
今回転職は成功しませんでしたが、転職活動自体は今後のキャリアをじっくり考える良い機会になりました。アドバイザーとの面談を通じて、私は土木の分野で専門性を磨きたいという思いを抱くことができたからです。新卒で入社してしばらく経つと、「本当にこの仕事で良かったのかな。別の仕事の方が向いているかも。」と誰しも一度は思ったことがあるはず。私自身、土木施工管理職を選んだことに疑問を感じていました。しかし転職活動を終えた今では、土木分野で価値ある人材になりたいと思っています。現職に不満や疑問を感じている場合は、転職活動を通じてキャリアを考え直すことをおすすめします。
【まとめ】土木施工管理歴1年でキャリアアップの転職は難しい
この記事では、土木施工管理歴1年で転職活動をした結果をお伝えしました。
- 応募数:36社
- 書類選考通過:6社(内3社辞退)
- 1次面接合格:3社
- 最高提示年収:450万円
転職活動中に提示された年収は、土木業界が平均400万円、他業界が平均300万円でした。院卒でゼネコンに勤めている場合、1年目でも残業代を含めて年収500万円以上もらっている人が多いはず。キャリアアップの転職は難しいと言えます。建設業界で年収アップの転職を成功させるためには、1級土木施工管理技士や技術士の資格が必要不可欠です。
また、転職活動自体は、自分の市場価値を知ることができるというメリットがあります。今後のキャリアプランをじっくり考えたい人は、たとえ転職する気がなくても転職エージェントを利用してみてください。