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型枠支保工材の数量拾いについて徹底解説【3Sシステム】

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  • 型枠支保工材を注文しないといけないけど…
  • どうやって支保工材の数量を拾えばいいか分からない
  • 支保工材の数量拾い方法を具体的に教えて!

コンクリート構造物を構築する際に使用される型枠支保工。型枠を支えるために仮設の支保工材を組み立てる工事です。ゼネコンに入社してすぐに支保工材の注文を任されて、悩んでいる若手現場監督も多いはず。

私自身、新卒でゼネコンに入社して半年くらい経った時に、固定支保工架設の橋梁工事の担当者になり、支保工材の数量拾いを経験しました。図面を正確に読み取る方法が分からず、手探り状態で必要な支保工材を数えました。結果として、支保工材の過不足が発生し、現場に多大な迷惑をかけたことがあります。

そこでこの記事では、未経験者でも迷わずに支保工材の数量拾いができるように、支保工材の拾い方を分かりやすく解説します。この記事を読めば、「支保工材を漏れなくダブりなく拾う方法」が分かります。

私が普段どうやって図面から支保工材の数を拾っているのかをまとめました。なるべくミスなく支保工材の注文をしたい方はぜひ最後まで読んでください。

目次

型枠支保工材の数量拾い方法


型枠支保工材の数量拾いは、正確な施工計画と資材調達のために不可欠な作業です。しかし、図面を読み解きながら必要な部材を漏れなく拾い上げるのは、容易ではありません。なるべくミスの可能性を減らすために、各図面で資材を数える順番を統一することで、数え忘れや重複を防ぎましょう。おすすめの順番は以下の通りです。

  • ジャッキベース・下部カラー材
  • 杉敷板・杉敷角
  • 大引き受けジャッキ・上部カラー材
  • 大引き材・根太材
  • 支柱材
  • 水平つなぎ材
  • ブレース材
  • 足場板

【実例】3Sシステム型枠支保工材の数量拾い

箱桁橋のコンクリートを打設するための3Sシステムを使用した型枠支保工を例にして、型枠支保工材の数量拾いフローを紹介します。

使用図面について

型枠支保工材には、日綜産業(株)のクサビ緊結式システム支保工を使用しています。

3Sシリーズ

3Sシステム
Scaffolding(足場)
Shoring(支保工)
Structure(構造物)

三つの単語の頭文字 “S”をとって名付けられたシステムでその名の通り、土木、建築、プラントをはじめ、あらゆる業界で足場工事、支保工工事、仮設スタンド等の仮設構造物として使用され、数多くの実績と高い評価を得ています。

日綜産業(株) ホームページ

今回数量拾いを実施する型枠支保工の図面は、以下の通りです。

上部平面図

下部平面図

側面図(1-1断面図)

側面図(2-2断面図)

側面図(3-3断面図)

正面図(4-4断面図)

正面図(5-5断面図)

3Sシステム型枠支保工の数量拾いフロー

3Sシステム型枠支保工の数量拾いフローは以下の通りです。

  • ジャッキベース
  • 下部ベースカラー
  • 杉敷板・杉敷角
  • 大引受ジャッキ
  • 上部ベースカラー
  • 大引材
  • 根太材
  • バーチカル
  • カップリングピン・ピグティルピン
  • ホリゾンタル
  • 斜めブレース
  • シルクロード
  • 足場板・水平ネット

ジャッキベース

ジャッキベースの数量は、平面図より拾いましょう。図面上でバーチカルと書かれている黒丸部分が該当します。バーチカルの土台にジャッキベースが存在するからです。また、上部平面図と下部平面図はそれぞれ分けて数えてください。

上部平面図

上部平面図は、3ブロックに分けて数えます。各断面図から分かる通り、3つのブロックは支保工の間隔や種類がそれぞれ異なるからです。どの図面でも、最初にブロックを分割してから数え始めることをおすすめします。

スクロールできます
ジャッキベース(ブロック1)315 (=7×45)
ジャッキベース(ブロック2)100 (=2×50)
ジャッキベース(ブロック3)120 (=2×50+20)
下部平面図

下部平面図に記載されている部分をブロック4として同様に数えます。

スクロールできます
ジャッキベース(ブロック4)405 (=9×45)
上部平面図と下部平面図の合計

それぞれの図面で数えたジャッキベースの数量を合計してください。

スクロールできます
品名品番個数
ジャッキベースSJBH20A940
ジャッキベースの合計個数

下部ベースカラー

今回の例の場合、下部ベースカラーの数量はジャッキベースの数量と同じになります。簡単のため、地盤の高さを一定にしているからです。しかし実際の業務では、地盤の勾配などが理由で、下部ベースカラーとジャッキベースの数量は一致しないケースがあります。その場合は、側面図と平面図を照らし合わせながら下部ベースカラーの数量を数えましょう。

スクロールできます
品名品番個数
下部ベースカラーBC02940
下部ベースカラーの合計個数

杉敷板・杉敷角

次に杉敷板及び杉敷角の数量を数えます。全て杉敷角を使用する場合は、ジャッキベースと同数になります。しかし、ジャッキベースが一列に並んでいる箇所は杉敷板を使用した方が施工性が良いです。今回も、箱桁内部以外は杉敷板を使用する前提で数量を拾います。数量を拾う際は、断面図を参照してください。4-4断面図と5-5断面図にそれぞれ分けて数えます。

ツッキー

安衛則242条によって、型枠支保工のベース金具を敷板に釘打ち固定する必要があります。忘れずに必ず拾いましょう。

正面図(4-4断面図)

上図の通り、杉敷板3mを2枚と杉敷板4mを1枚並べると、全てのジャッキベースの下に敷板を設置できそうです。杉敷板4mは、上床版が拡幅している箇所のみで使用します。平面図より、上床版の拡幅が終わる箇所を確認して数量を拾いましょう。

スクロールできます
杉敷板3m40 (=2×20)
杉敷板4m20 (=1×20)
正面図(5-5断面図)

上図の通り、箱桁の内部は杉敷角を7個、地盤上には杉敷板3mを3枚並べます。すると、全てのジャッキベースの下に敷板を設置できそうです。平面図より、杉敷角の必要な箇所と杉敷板3mを使用する箇所をそれぞれ確認して数量を拾います。

スクロールできます
杉敷角315 (=7×45)
杉敷板3m90 (=3×30)
各正面図の合計

それぞれの図面で数えた杉敷板及び杉敷角の数量を合計してください。

スクロールできます
品名品番個数
杉敷板3mS3530B130
杉敷板4mS3540B20
杉敷角S3503B315
杉敷板・杉敷角の合計個数

大引受ジャッキ

今回の例の場合、全てのジャッキベースの最上部に大引受ジャッキがあります。よって、大引受ジャッキの数量は、ジャッキベースと一致します。

スクロールできます
品名品番個数
大引受ジャッキUJ01940
大引受ジャッキの合計個数
ツッキー

ブラケット支柱を使用する場合や外周足場を設置する場合などは、ジャッキベースと大引受ジャッキは一致しません。
断面図と平面図を参考に、数量を拾う必要があります。

上部ベースカラー

上部ベースカラーは、大引受ジャッキの数量とは一致しません。高さ調整のために上部ベースカラーを使う箇所と使わない箇所があるからです。多くの土木構造物は縦横断方向の勾配がついているのが一般的。勾配分の高さ調整を、支柱と上部ベースカラーの組み合わせで行います。よって上部ベースカラーは、正面図と側面図をそれぞれ参照して数量を拾う必要があります。

正面図

まずは正面図を確認しましょう。図面に示す通り、4つのブロックに分けて考えてください。各ブロックで上部ベースカラーを使用する箇所と使用しない箇所を数えます。支保工最上部の青丸が、上部カラー材に該当します。

ブロック使用する箇所使用しない箇所
6箇所1箇所
0箇所2箇所
2箇所(上床版拡幅部は+1箇所)0箇所
5箇所4箇所
側面図

正面図を確認し終えたら、側面図を確認しましょう。側面図において上部ベースカラーを使用している断面は、正面図で数えた通りの使用量です。逆に、側面図において上部ベースカラーを使用していない断面は、正面図で使用していなかった箇所で上部ベースカラーを使用します。よって、上部ベースカラーの数量は、各ブロックにおいて以下の式で算出可能です。

数量 = 正面図で使用する箇所 × 側面図の使用個数 + 正面図で使用しない箇所 × 側面図の不使用個数

スクロールできます
上部ベースカラー(ブロック1)155 (=6×22+1×23)
上部ベースカラー(ブロック4)210 (=5×30+4×15)
スクロールできます
上部ベースカラー(ブロック2)58 (=0×21+2×29)
スクロールできます
上部ベースカラー(ブロック3)53 (=2×23+0×27+1×7)
上部ベースカラーの合計

各ブロックで数えた数量を合計してください。

スクロールできます
品名品番個数
上部ベースカラーBC150M476
上部ベースカラーの合計個数
ツッキー

上部ベースカラーは図面から拾った数量と現場での使用量が一致しないことがほとんど。現場で図面通りに高さ調整できるとは限らないからです。少し余分めに注文しましょう。

大引材

続いて大引材の数量を数えます。コンクリート部材厚や施工条件の違いによって、使用する大引材も変化するのが一般的です。しかし今回の例では簡単のため、全ての大引材を60×120の角鋼管のシングル使いとします。上部ベースカラーの時と同様に、正面図と側面図をそれぞれ参照して大引材の数量を拾いましょう。

正面図

4つのブロックに分けて考えます。各ブロックで60×120の角鋼管の長さを確認してください。

ブロック使用する角鋼管
4m×1、1m×2
1.5m×1
1.5m×1(上床版拡幅部は1m×1も)
4m×2
側面図

側面図を確認して、正面図で数えた資材の数が断面何個分あるかを把握しましょう。そして、正面図より求めた資材の数と断面の数を掛け算してください。下図より、ブロック①と④は45断面分あることがわかります。

スクロールできます
60×120角鋼管1m90 (=2×45)
60×120角鋼管4m135 (=1×45+2×45)

同様に、ブロック③と④は50断面分あることがわかります。また④については、上床版拡幅を20断面分考慮します。

スクロールできます
60×120角鋼管1m20 (=1×20)
60×120角鋼管1.5m100 (=2×50)
大引材の合計

数えた本数を合計してください。

スクロールできます
品名品番個数
60×120角鋼管1mSP1.0M110
60×120角鋼管1.5mSP1.5M100
60×120角鋼管4mSP4.0M135
大引材の合計個数
ツッキー

コンクリート部材厚や施工条件に応じて、60×120角鋼管をダブル使いしたり、バタ角を使用したりします。
大引材の種類が変わっても、数量拾いのフロー自体は変わりません。

根太材

今回の例では、60角鋼管を根太材として使用します。大引材の時と同様に、正面図と側面図をそれぞれ参照して根太材の数量を拾いましょう。

正面図

4つのブロックに分けて考えます。各ブロックで60角鋼管の本数を確認してください。今回の例では簡単のため、全ての根太材を@300で配置することにします。

スクロールできます
ブロック①18本
ブロック②4本
ブロック③4本(上床版拡幅部は+3本)
ブロック④24本
ツッキー

根太材のピッチは、コンクリート荷重の大きさによって変化します。例えば箱桁橋の場合、ウェブ直下は荷重が大きいです。実施工では、ウェブ下の根太材は密に設置する必要があります。

側面図

側面図を確認して、60角鋼管の長さと本数を決定しましょう。今回は簡単のため、使用する全ての角鋼管の長さを4mとします。下図よりブロック①と④は4mの角鋼管を11本使用することがわかります。そして、正面図より求めた資材の数と側面図で求めた本数を掛け算してください。

スクロールできます
60×120角鋼管4m462 (=18×11+24×11)

同様に、ブロック②と③は4mの60角鋼管を13本使用することがわかります。またブロック③については、上床版拡幅分の5本を追加します。これらを考慮して本数を計算してください。

スクロールできます
60×120角鋼管4m119 (=4×2×13+3×5)
ツッキー

今回は簡単のため省略していますが、実施工では床版の形状に合わせて60角鋼管の長さを変更します。
必ず施工業者さんと事前に相談して、角鋼管の長さと配置場所を決めてください。

根太材の合計

数えた本数を合計してください。

スクロールできます
品名品番個数
60角鋼管4m60K4.0M581
根太材の合計個数
ツッキー

正面図・側面図ともに、施工で本来考慮するべきポイントを省略しています。実際はもう少し複雑ですが、数量拾いの考え方自体は変わりません。

バーチカル

次に、3Sシステムの支柱材であるバーチカルの数量を数えます。縦横断の勾配がある構造物を構築するための型枠支保工材の中で、最も数えるのが面倒くさく間違えやすいのが支柱材です。最上段に使用する支柱材の長さが、縦断方向、横断方向ともに変化するからです。平面図と側面図と正面図の全てを参照しながら数量を拾いましょう。

最上段以外

最上段以外のバーチカルの数量については、各ブロック毎に最初に数えたジャッキベース数量の等倍になります。基本的に型枠支保工は、ジャッキベースの上にバーチカルを建てこむ構造だからです。側面図よりバーチカルを何段分使用しているか数えて、段数とジャッキベースの数量を掛け算して求めましょう。

ブロックジャッキベース 個数バーチカルVPM18 個数
100500 (=100×5)
120600 (=120×5)
4051215 (=405×3)
ツッキー

ブロック①はほぼ全ての場所で1段分しかバーチカルを使用していません。よって、最上段扱いとして次のステップで数量拾いをします。

最上段

最上段のバーチカルは、縦横断の勾配によって使用する種類が変わります。まず正面図を確認して横断勾配の影響を考慮し、続いて側面図を確認して縦断勾配の影響による変化を加味して数量を拾いましょう。

正面図

正面図では、各ブロックで青丸をつけた箇所と同じ種類のバーチカルを使用しているかどうかを確認します。青丸をつけた箇所が、側面図で切り取っている断面だからです。そして、違う種類のバーチカルを使用している場合は、青丸よりも長いのか短いのかも合わせて数量を確認します。

ブロック青丸と同じ種類のバーチカル本数青丸と違う種類のバーチカル本数
7本0本
1本1本(青丸より300mm短い)
1本(上床版拡幅部は+1本)1本(青丸より300mm短い)
5本4本(青丸より300mm長い)
ツッキー

3Sシステムのバーチカルの種類は、300mmずつ異なる寸法です。

側面図

次に、側面図を確認して各ブロック毎に使用しているバーチカルの種類と数量を拾いましょう。側面図にて確認できるバーチカルの種類は、先ほど正面図にて確認した青丸部分に該当します。よって、側面図に記載されているバーチカルとは違う種類のバーチカルも同時に数える必要があるので注意してください。

スクロールできます
ブロック①本数(=側面図の本数×正面図の本数)
VPMS0984 (=12×7)
VPMS1284 (=12×7)
VPMS15140 (=20×7)
VPMS1891 (=13×7)
ツッキー

簡単のため、全てのバーチカルをVPMSにしています。現場で図面通りにVPMとVPMSを使い分けるのは難しいので、「最上段は全てVPMS」の方が分かりやすいです。

スクロールできます
ブロック②本数
VPMS0612 (=0+12×1)
VPMS0925 (=12×1+13×1)
VPMS1227 (=13×1+14×1)
VPMS1525 (=14×1+11×1)
VPMS1811 (=11×1+0)
ツッキー

ブロック②では、側面図通りのバーチカル1本と300mm短い種類のバーチカル1本を使用することを考慮して計算します。

スクロールできます
ブロック②本数
VPMS0619 (=0+19×1)
VPMS0949 (=19×1+19×1+11×1)
VPMS1230 (=11×1+1×1+18×1)
VPMS1520 (=18×1+2×1)
VPMS182 (=2×1+0)
ツッキー

上床版拡幅部の数量を忘れずに足してください。

スクロールできます
ブロック本数
VPMS09152 (=0+38×4)
VPMS12152 (=0+38×4)
VPMS1535 (=7×5+0)
VPMS18218 (=38×5+7×4)
ツッキー

ブロック④では、側面図通りのバーチカルと300mm長い種類のバーチカルが必要です。VPMS18よりも300mm長いバーチカルとしてVPMS09とVPMS12を組み合わせて使用します。

最上段以外と最上段の合計

各ステップで数えたバーチカルの本数を合計してください。

スクロールできます
品名品番個数
48.6Sバーチカル600mmVPMS0631
48.6Sバーチカル900mmVPMS09310
48.6Sバーチカル1200mmVPMS12293
48.6Sバーチカル1500mmVPMS15220
48.6Sバーチカル1800mmVPMS18322
48.6バーチカル1800mmVPM182315
バーチカルの合計個数

カップリングピン・ピグティルピン

バーチカルの数量を拾い終えたタイミングでカップリングピンとピグティルピンも数えましょう。各ピンは、バーチカル同士の連結部に必要であり、バーチカルの数量と関連するからです。基本的には、バーチカルの最上段以外で数えた数量とカップリングピンの数量は一致します。しかし今回は最上段でのVPMS09とVPMS12の連結も考慮しなければいけません。また、カップリングピン1つにつきピグティルピンを2つ使用します。

スクロールできます
品名品番個数
カップリングピンCP022551(=2315+84+152)
ピグティルピンLP025102(=2551×2)
カップリングピン・ピグティルピンの合計個数
ツッキー

ピンを使用するのは、バーチカル同士の連結のみです。バーチカルとジャッキやバーチカルとカラーの連結には使用しないので注意してください。

ホリゾンタル

続いてホリゾンタルの数量拾いを行います。ホリゾンタルを数えるためには、平面図と側面図を参照する必要があります。

平面図

橋軸方向と橋軸直角方向それぞれで、使用しているホリゾンタルの種類と数量を数えてください。

スクロールできます
ブロック橋軸方向ホリゾンタル橋軸直角方向ホリゾンタル
HL0627 : 90本 (=45×2)
HL0857 : 90本 (=45×2)
HL1176 : 90本 (=45×2)
HL0857 : 196本 (=28×7)
HL1176 : 112本 (=16×7)
HL1176 : 50本 (=50×1)HL0857 : 66本 (=33×2)
HL1176 : 32本 (=16×2)
HL0857 : 20本 (=20×1)
HL1176 : 50本 (=50×1)
HL0857 : 83本 (=33×2+17×1)
HL1176 : 34本 (=16×2+2×1)
HL0627 : 180本 (=45×4)
HL1176 : 180本 (=45×4)
HL0857 : 252本 (=28×9)
HL1176 : 144本 (=16×9)
側面図

側面図より、各ブロックでホリゾンタルを何段分使用しているか数えてください。段数を先ほど数えた数量に掛ければ使用本数を求めることができます。ただし、ブロック①と④は部分的に段数が異なる箇所があるので、該当箇所は再度平面図に戻って数え直した分を足す必要があります。

スクロールできます
ブロック橋軸方向ホリゾンタル橋軸直角方向ホリゾンタル
HL0627 : 212本 (=90×2+16×2)
HL0857 : 212本 (=90×2+16×2)
HL1176 : 212本 (=90×2+16×2)
HL0857 : 483本 (=196×2+13×7)
HL1176 : 238本 (=112×2+2×7)
HL1176 : 350本 (=50×7)HL0857 : 462本 (=66×7)
HL1176 : 224本 (=32×7)
HL0857 : 140本 (=20×7)
HL1176 : 350本 (=50×7)
HL0857 : 581本 (=83×7)
HL1176 : 238本 (=34×7)
HL0627 : 976本 (=180×5+38×2)
HL1176 : 938本 (=180×5+38×1)
HL0857 : 1344本 (=252×5+21×4)
HL1176 : 784本 (=144×5+16×4)
各ブロックの合計

側面図にて各ブロックで求めたホリゾンタルの数量を合計してください。

スクロールできます
品名品番個数
42.7ホリゾンタル627mmHL06271188
42.7ホリゾンタル857mmHL08573222
42.7ホリゾンタル1176mmHL11763334
ホリゾンタルの合計個数

斜めブレース

ホリゾンタルの次は、斜めブレースの数量を拾います。斜めブレースもバーチカルと同様、縦横断勾配のある構造物の場合は数えるのが大変です。最上段以外と最上段に分けて考えます。

最上段以外

最上段以外に使用する斜めブレースは、縦横断勾配に関係ないので図面通りの配置です。橋軸方向は正面図と平面図を、橋軸直角方向は側面図と平面図を確認して数量を拾いましょう。

スクロールできます
ブロック橋軸方向ブレース橋軸直角方向ブレース
BOC812 : 250本 (=5×50)BOC809 : 110本 (=55×2)
BOC812 : 110本 (=55×2)
BOC812 : 250本 (=5×50)BOC809 : 125本 (=55×2+15)
BOC812 : 110本 (=55×2)
BOC809 : 360本 (=8×45)
BOC812 : 360本 (=8×45)
BOC809 : 135本 (=15×9)
BOC812 : 270本 (=30×9)
ツッキー

平面図には斜めブレースの設置位置が▶︎で示されています。正面図と側面図で拾った数量が何断面分必要かを確認してください。冗長になるので、ここでは平面図の参照を割愛しています。

最上段

最上段は、斜めブレースの種類が変化します。斜めブレースの種類は、バーチカルの長さとホリゾンタルの長さによって決まります。正面図と側面図で最上段のバーチカルの長さを確認して、ホリゾンタルの長さが分かる平面図に書き込みましょう。バーチカルの長さは、先ほど行ったバーチカルの数量拾いを参考にします。

バーチカルの種類を書き込んだ平面図を参照して、▶︎で示された斜めブレースの数量を確認しましょう。数量を拾う際は、▶︎に該当する箇所のバーチカルとホリゾンタルの寸法毎に分けて拾い出します。バーチカルの寸法が変化する境目になっている箇所の斜めブレースは、短い方のバーチカルに合わせて数量を拾ってください。

スクロールできます
斜めブレース数量HL0627HL0857HL1176
VPMS0601031
VPMS0901830
VPMS120942
VPMS1578685
VPMS1845104103
VPMS09+VPMS12387389

下記のカタログを参考に、該当する斜めブレースの種類を計上します。

日建リース工業(株) 仮設資材カタログ
スクロールできます
ブレース種類ブレース数量
単管ブレース1.2m48本 (=10+38)
単管ブレース1.5m160本 (=31+18+38+73)
BOC209201本 (=30+9+73+89)
BOC212224本 (=42+7+86+89)
BOC21685本
BOC809149本 (=45+104)
BOC812103本
最上段以外と最上段の合計

各ステップで数量を拾った斜めブレースを合計してください。

スクロールできます
品名品番個数
単管1.2m1.2M48
単管1.5m1.5M160
兼用自在クランプARC2416
斜めブレースBOC209201
斜めブレースBOC212224
斜めブレースBOC21685
斜めブレースBOC809879
斜めブレースBOC8121453
斜めブレースの合計個数
ツッキー

単管ブレースは、単管1つにつき自在クランプを2つ使うものとしました。実際は、スーパークランプを使用する場合があるので注意してください。

シルクロード

型枠支保工の骨組み部分の数量拾いが完了したので、最後に作業足場部分の資材を拾いましょう。最上段は、シルクロードを使用します。カタログを確認しながらシルクロードの割付を平面図に記入してください。

日建リース工業(株) 仮設資材カタログ

割り付けた平面図をもとに、L寸法を考慮してシルクロードの数量拾いを行います。

スクロールできます
品名品番個数
シルクロード(L=900mm)SRM0935112
シルクロード(L=900mm)SRM0940234
シルクロード(L=900mm)SRM0950402
シルクロード(L=900mm)SRM097017
シルクロード(L=1200mm)SRM123564
シルクロード(L=1200mm)SRM1240128
シルクロード(L=1200mm)SRM1250224
シルクロード(L=1200mm)SRM12702
シルクロードの合計個数
ツッキー

シルクロード同士の隙間を塞ぐためにメッシュばんを使用する場合があります。また、作業員さんによっては最上段も足場板を使用します。
所属会社のルールや施工業者さん次第で必要な資材は変わるので注意してください。

足場板・水平ネット

最後に足場板の数量を拾います。最上段以外の作業床として使用するためです。実際に型枠支保工を組み立てる際、1段ずつ足場板を敷き並べながら作業を行います。また、型枠支保工は作業床の隙間が大きいです。幅木も基本的に設置しません。よって墜落防止のための水平ネットが必要になります。足場板と同じタイミングで計上してください。正面図と側面図を確認して数量拾いを行います。

正面図

幅240mmの足場板を何枚並べることができるかを正面図で確認します。足場板を並べる段数も各ブロック毎に数えてください。水平ネットは赤丸の位置に設置することとします。

スクロールできます
ブロック②足場板 20枚
水平ネット2×6 2枚
ブロック③足場板 20枚 (上床版拡幅部は+15枚)
水平ネット2×6 2枚
ブロック④足場板 72枚
水平ネット10×10 1枚
側面図

側面図を確認して、足場板の長さと枚数を決定しましょう。足場板を設置する際は両端をホリゾンタルで支える必要があるので、枚数を数える時に意識してください。例えば、全長が19.6m(16@1.225m)の範囲に設置する4m足場板の枚数は5枚ではなく6枚になります。3.675m(3@1.225m)につき1枚の足場板が必要だからです。水平ネットは、全長を確保するために何枚必要かを数えるだけで十分です。

足場板と水平ネット共に、正面図で数えた枚数と側面図で数えた枚数を掛け算してください。

スクロールできます
ブロック④足場板4m
水平ネット10×10
864枚 (=72×12)
5枚 (=1×5)

ブロック③は上床版拡幅部の分も考慮する必要があるので注意しましょう。

スクロールできます
ブロック②足場板4m
水平ネット2×6
280枚 (=20×14)
16枚 (=2×8)
ブロック③足場板4m
水平ネット2×6
355枚 (=20×14+15×5)
16枚 (=2×8)
足場板と水平ネットの合計

側面図にて各ブロックで数えた数量を合計してください。

スクロールできます
品名品番個数
足場板4mNB4001499
水平ネット2×632
水平ネット10×105
足場板と水平ネットの合計個数
ツッキー

以上で型枠支保工材の数量拾いは終了です。お疲れ様でした。
実際は、型枠支保工に移動するための足場を組み立てます。
足場用の階段などの資材も拾う必要がありますが、今回は割愛します。
足場材の数量拾いについては以下の記事で解説しています。

型枠支保工材発注表の作成

各手順で拾い上げた資材数量を合計して、発注表を作成します。発注表を作成する際の、チェックポイントは以下の通りです。

  • 品番は正しいか
  • 適度に割り増しできているか
  • 製品重量は合っているか
  • 資材の総重量は何tか

まずは、カタログの品番を正しく記載しているか確認しましょう。品番を間違えてしまうと、せっかくの数量拾い作業が台無しです。資材の寸法は、基本的に品番の数字で管理されています。寸法を示す数字に誤りがないかどうか、必ず確かめてください。

次に、拾いあげた数量を適度に割り増ししてください。搬入された資材に不備があったり、資材が足りなかったりする場合に対応したいからです。無理して注文数量をギリギリにする必要はありません。少し余る程度に、割増係数をかけるようにしましょう。

最後に、各資材の単位重量と個数をかけて総重量の計算を行います。型枠支保工材を搬入するために、車を何台手配する必要があるかを判断したいからです。今回のケースでは、総重量が約140tになりました。少なく見積もっても、10t車を15台手配する必要があります。もちろん一度に搬入してしまっては、現場は型枠支保工材でパンクしてしまいます。工程に合わせて必要な分だけ注文するようにしましょう。車両手配には1週間ほど要するので、なるべく早めに総重量の計算を行ってください。

以上のチェックポイントを踏まえた上で、今回作成した型枠支保工材の発注表は以下の通りです。

ツッキー

私は、エクセルの機能を活用して、品番や製品重量の入力を自動化しています。
おかげで毎回カタログを見て探す手間がなくなり、ミスする可能性を減らすことができました。

型枠支保工材の重量計算を自動化する方法は、以下の記事で解説しています。Excelシートのダウンロードも可能です。3Sシステムの型枠支保工材にも対応しています。

型枠支保工材の数量拾いはルールを守ってミスを防ごう

本記事では、型枠支保工材の数量拾いをミスなく行うための方法を解説しました。型枠支保工材の数量拾いのコツは、ズバリこちらです。

型枠支保工材を拾う順番を統一すること

3Sシステム型枠支保工の数量拾いを行う場合の、おすすめのフローは以下の通りです。

3Sシステム型枠支保工の数量拾いフロー
  • ジャッキベース
  • 下部ベースカラー
  • 杉敷板・杉敷角
  • 大引受ジャッキ
  • 上部ベースカラー
  • 大引材
  • 根太材
  • バーチカル
  • カップリングピン・ピグティルピン
  • ホリゾンタル
  • 斜めブレース
  • シルクロード
  • 足場板・水平ネット

上記の手順に従えば、漏れなくダブりなく型枠支保工材の数量を拾うことができます。

私は、初めての型枠支保工材注文に戸惑いながら、手探りで数量拾いを行った経験があります。資材が足りなくて工程を遅らせたり、逆に余らせすぎてリース料を無駄にしたり、何度も何度もミスをしました。失敗を積み重ねた結果生み出した、私なりの数量拾いフローを本記事でまとめています。紹介した数量拾い方法を参考にすれば、型枠支保工材の注文を滞りなく行うことができます。ぜひ、本記事の内容を参考に型枠支保工材の発注業務を進めてください。

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この記事を書いた人

ツッキーのアバター ツッキー 土木施工監督

【20代土木施工監督】
橋づくり3年目
土木施工管理の仕事で得た経験と知識を発信

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