- 足場材の注文をしたいんだけど…
- いちいちカタログから探すのが面倒くさい
- もっと効率よく重量計算する方法を教えてほしい!!
若手現場監督が任される仕事の一つは、足場材の注文です。図面から必要な足場材の数量を拾った後、リース会社のカタログを片手に品番と製品重量を探している方も多いはず。
私自身、橋梁架設工の現場監督になってから、何度も足場材の注文を行いました。毎回カタログを開いては、必要な足場材の品番と製品重量を探して発注票づくり。繰り返し作業を省力化できないかと模索した結果、今ではExcelを用いてあっという間に総重量を計算して発注することができるようになりました。
そこで本記事では、若手現場監督が足場材の注文で苦労しないように、足場材の品番探しと重量計算をExcelで自動化する方法を分かりやすく解説します。この記事を読めば、「誰でも簡単に足場材の重量計算を自動化すること」ができます。
私が何度も試行錯誤することで手に入れたノウハウをまとめました。足場材発注業務の生産性を向上させたい方は、ぜひ最後まで読んでください。
Excelを用いた足場材発注表の作成方法
足場材の重量計算を自動で行うExcelシートはこちらです。
以下の手順で、足場材の発注表を作成することができます。
- B列で資材のカテゴリーを選択
- C列で品名を選択
- D列で品番を選択
- 数量拾いをした個数を入力
- 資材個数の割り増し係数を入力
- 印刷範囲の確認
本記事で紹介しているExcelシートは日建リース工業(株)の仮設資材カタログを参考に作成しています。
あなたの現場で取引しているリース会社に置き換えて使用する必要がありますので、あらかじめご了承ください。
資材のカテゴリーを選択
まず初めにB列で資材のカテゴリーを「あ〜き」の中から選択します。本シートでは、以下の資材カテゴリーが各文字に対応しています。
- あ:NDシステム1800
- い:枠組
- う:枠組付属
- え:ブラケット・支柱
- お:3Sシステム
- か:共通部材
- き:明治商工(シート類・養生ネットなど)
資材カテゴリーは、先述の仮設資材カタログを元に作成しました。例えば、「あ:NDシステム1800」は以下の部分に該当します。
日建リース工業(株) 仮設資材カタログ
実際にカタログから資材を探すときも、まず目次から該当するカテゴリーのページを開くはず。それと同じ要領です。
品名を選択
次にC列で資材の品名を選択します。先ほど選択したカテゴリーに該当する資材が表示される仕組みです。上記の写真例では、「あ:NDシステム1800」をB列で選んでいます。だからC列では、NDシステム1800のページに記載されている資材が選択肢に含まれています。
本記事で紹介しているExcelシートは、現場で使う可能性のある資材のみに絞っています。カタログ内の全資材を網羅している訳ではないので、あらかじめご了承ください。
品番を選択
品名の選択を終えたら、注文したい資材の品番を選択してください。品名は同じでも、寸法が異なる資材はたくさんあります。寸法の違いによって品番も異なるので、選んだ品名に含まれる品番が表示される仕組みです。例えば、上記では「支柱連結ホゾ付き」をC列で選んでいます。だからD列では、支柱(連結ホゾ付き)に記載されている品番が選択肢に含まれています。
日建リース工業(株) 仮設資材カタログ
選択肢から品番を選んだ時点で、製品重量は自動入力されます。製品重量の欄は、一切触る必要はありません。
キーボードのAltと↓を同時に押すと、選択肢が表示されます。
もちろんマウスでも選ぶことはできますが、なるべくキーボードで作業することで生産性アップするのでおすすめです。
個数を入力
選択した品番の資材が図面上何個あるかをE列に入力してください。注文したい数量ではなく、図面からの数量拾いによって得た数字を直接入力しましょう。足場材および型枠支保工材の数量拾いの方法は、それぞれ以下の記事で解説しています。
割増係数を入力
F列で割増係数を入力します。個数と割増係数をかけて四捨五入した値が、G列の注文数量に表示される仕組みです。そして注文数量の表示と同時に、総重量も表示されます。注文数量と製品重量をかけ算した値になっていることが分かるはず。以上を各資材で繰り返すことで、合計の総重量を算出します。
印刷範囲の確認
最後に、罫線や印刷範囲が正しく表示されているかを確認してください。本シートでは、B列の「あ〜き」は不要な情報のため、印刷範囲から外しています。罫線と印刷範囲については、以下を参考に作成しました。
Excel最強の教科書[完全版] 藤井直弥 / 大山啓介表の罫線の正しい設定方法表に罫線を引く場合は、最初に表の範囲が分かるように、上下に太線を引きます。1枚のシートに複数の表を作成した場合でも、この太線があれば表の範囲がひと目でわかります。また、各項目の数値を捉えやすくするために、横方向に細い線で抽選を引きます。そして、縦線は基本的に引きません。
Excel最強の教科書[完全版] 藤井直弥 / 大山啓介Excelの印刷機能をきちんと理解する印刷を開始する前に、対象シートのどのセル範囲を印刷するかを設定します。シート内の印刷したいセル範囲を選択した状態で、[ページレイアウト]タブの[印刷範囲]→[印刷範囲の設定]をクリックすると、そのセル範囲のみが印刷対象に指定されます。
本シートは、品番と注文数量と合計の総重量のみ赤字にしています。
資材のリース会社にとって必要な情報を強調するためです。
足場材の重量計算を自動化するメリット3選
足場材の重量計算を自動で行うExcelシートを利用するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 品番の入力ミスを防げる
- 製品重量を調べる必要がない
- 注文数量の調整がしやすい
品番の入力ミスを防げる
本シートを利用すれば、品番の入力ミスを防げます。品番を直接入力するのではなく、プルダウンから選ぶだけで良いからです。あなたも一度はこんな経験をしていませんか?
ただでさえ忙しい施工管理の仕事。現場仕事でヘトヘトになった後の事務所での内業はミスが起こりやすいです。しかし、手入力ではなく選択肢から選ぶだけであれば、ミスの可能性を限りなく減らすことができます。
製品重量を調べる必要がない
該当する品番をカタログからいちいち探して、製品重量を調べる必要はありません。品番を入力した時点で、対応する製品重量が自動的に表示されるからです。
- カタログから探すのが面倒くさい…
- 何度も使う資材なのに、毎回重量を入力しないといけない…
- 総重量の計算をしないと、搬入車両を手配できない…
上記のような思いを、私自身何度も経験しました。繰り返し作業をどうにかして省力化するために、思いついた仕組みです。重量計算をExcelで自動化してからは、足場材の発注業務に必要な時間が1/5ほどになったと体感しています。
注文数量の調整がしやすい
本シートでは、数量と割増係数を入力してから注文数量を算出するようにしています。理由は以下の通りです。
- 余分めに注文することができる
- 四捨五入して数字を丸めることができる
- 図面を元に拾った個数を確認できる
割増係数を入力することで、資材を余分めに注文可能です。単管やクランプなどの便利な資材は、想像以上に現場で使用します。資材が不足する事態を避けるためにも、割増して注文してください。そして本Excelシートは、注文数量を算出する時に四捨五入する仕組みになっています。一般的に、支柱やつなぎ材などの大量に使用する資材は、端数を丸めて注文することが多いからです。
もちろん、必要数量より多めにした数字を注文数量に直接入力しても構いません。しかし、図面を元に拾った資材の個数が分からなくなってしまいます。元データが残っていないと、自ら拾った数量と実際の現場で使われた数量の比較ができません。また、数量拾いミスが判明した時、原因を突き止めるのが難しいです。今後の資材管理をより良くするために、元データを残して割増で注文することをお勧めします。
私自身、何となく多めに頼んで大量に余らせた経験があります。
多めの感覚を掴むためにも、数量拾いした元データを残すのが大切です。
足場材重量計算を自動化するExcelシートの作成手順
足場材重量計算を自動化するExcelシートは、以下の手順で作成できます。
- 品番・製品重量・品名の表作成
- テーブルの作成
- テーブル名の変更
- 品名の抽出
- 名前の定義
- ①〜⑤を資材カテゴリー毎に繰り返し
- データの入力規則設定
- 関数の入力
- コピー&ペースト
- オートSUM設定
品番・製品重量・品名の表作成
まず初めに、品番・製品重量・品名の表を作成します。資材カテゴリー毎にシートタブを分けるのがおすすめです。写真の例では、「NDシステム1800」の資材をピックアップしています。この作業は、カタログから地道に探して入力するしかありません。確かに面倒くさいです。しかし一度頑張れば、資材の発注時に何度も行うはずであった繰り返し作業をなくすことができます。また、初めから全ての資材を網羅して表を作成する必要はありません。時間の無駄です。使う可能性のある資材に絞って表を作成しましょう。
後ほど使用する関数の都合上、列の順番は品名・製品重量・品番になっています。品名を一番左にした方が見やすいですし、それに対応することも可能ですが、今回は紹介を割愛します。
テーブルの作成
先ほど作成した表の中で任意のセルを選択した状態で、[Ctrl]+[T]キーを押してください。写真のように、テーブルの作成というウィンドウが表示されます。作成した表全体が指定されていることと「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」にチェックが入っていることを確認して、OKをクリック。作成した表をテーブルに変換することができます。テーブル化は必須ではありませんが、以下のメリットがあります。
- VLOOKUP関数の引数[範囲]をテーブル名にできる
- データの増減に自動対応できる
前者はたいしたメリットではありませんが、後ほど関数の引数を入力する時に少し楽になります。後者は、品名や品番を追加したい時に非常に大きな効果を発揮します。表作成の時点では入力していなかった資材をテーブルに追加しても、自動的に範囲を拡張してくれるからです。
できるYOUTUBER式 EXCEL現場の教科書 長内孝平テーブルの活用でデータの増減に自動対応データの件数が増えることはよくありますが、その度に、VLOOKUP関数の数式を修正していくことは手間です。これを解決するために、参照元の表をあらかじめテーブルに変換しておきましょう。データベース形式の表をフル活用するための機能であり、データが増減しても自動的に範囲を拡張してくれます。
テーブル名の変更
テーブルを作成したら、テーブル名を変更しましょう。ここでは資材カテゴリーの名前を付与しています。ちなみに英語の名前に変える方がメリットが大きい模様です。
できるYOUTUBER式 EXCEL現場の教科書 長内孝平構造化参照を使って数式入力する(前略)
テーブル名は自動的に付与されますが、英語の名前に変えるのが原則です。こうしておけば、数式の入力時にオートコンプリート(自動入力の)候補にあがるなどのメリットが生まれます。
テーブル名を変更するときに、テーブルスタイルのオプションも設定しましょう。本シートは、「縞模様(行)」のチェックを外しています。
品名の抽出
空いているセルのどこでも構わないので、以下の式を入力してください。E列から、重複を取り除いた品名が抽出されます。
テーブル名の場所には、先ほど変更したテーブル名を入力してください。写真の例では、「NDシステム1800」と入力しています。G列に「NDシステム1800」に該当する品名が並んでいるのが分かります。紹介しているExcelシートは、資材カテゴリーの「あ」が「NDシステム1800」に対応するよう設定しました。よって、抽出された品名の一番上に「あ」を入力しています。
UNIQUE関数は、複数の値の中から重複を取り除いた固有の値を取り出すことができます。
名前の定義
選択肢から資材を選べるように、名前の定義を行います。リボン「数式」の「名前の定義」をクリックして、任意のセルやセル範囲に名前をつけましょう。
品名のセル範囲に資材カテゴリーの名前をつける
まず、資材の品名が記入されたセル範囲に資材カテゴリーの名前をつけます。写真の例では、「名前(N):」の欄は「NDシステム1800」に該当する「あ」になっています。「参照範囲(R):」は、UNIQUE関数で抽出した列の最上部をクリックして、末尾に「#」を入力してください。OKをクリックすれば、品名を示すセル範囲に「あ」という名前が定義されます。
上記の手順通りに入力すれば品名の追加にも自動対応します。
品名を追加する可能性がない場合、「参照範囲(R):」は、セル範囲を直接指定しても構いません。
品番のセル範囲に品名の名前をつける
リストを作成したい品名のセルを選択した状態で、「名前の定義」をクリックします。「名前(N):」の欄は自動入力されるので、選んだ品名になっていることを確認。「参照範囲(R):」は、選んだ品名に該当する品番の範囲を選択してOKをクリックしてください。写真の例では、「支柱連結ホゾ付き」を定義しています。同様の作業を、各資材で繰り返し行います。
定義した名前の確認
全ての名前の定義を終えたら、「名前の管理」で確認します。名前と参照範囲の整合性を確かめてください。
名前の定義は面倒な作業です。私自身心が折れそうになりました。
しかし今となっては、頑張ってよかったと心の底から思います。
資材カテゴリー毎に同様の作業を繰り返し
資材カテゴリー毎にシートを分けて、同様の作業を繰り返してください。同じシートに全ての資材をリストアップしてしまうと、管理がしづらいからです。あらかじめシートを分けておけば、後から資材を追加したくなった時にどのカテゴリーに属する資材かを区別しやすくなります。
Excel最強の教科書[完全版] 藤井直弥 / 大山啓介他のシートの値を参照する(前略)
いろいろな表で何度も使用されるデータ(例えば、商品やサービスの一覧表など)は独立した専用のシートにまとめておき、各シートから参照するようにします。そうすれば、名称や価格の入力ミスを未然に防ぐことができます。
なお、他のシートを参照するようにしておけば、名称や価格が変更された場合でも、参照先シートの一箇所を修正するだけで、ブック内の全データを修正できます。もし各シート内で個別にベタ打ちしていた場合は、ブック中のさまざまな箇所に記載されている商品名を1つずつ検索して修正しなければなりません。しかし、そうした状況では、「修正し忘れ」というミスも発生してしまうでしょう。
資材カテゴリー毎に独立した専用のシートを作成し、各製品重量のデータをまとめています。
データの入力規則設定
「データの入力規則」を設定して、入力不要の「選択リスト」を作成します。資材カテゴリー、品名、品番それぞれで設定を行います。
できるYOUTUBER式 EXCEL現場の教科書 長内孝平入力不要の「選択リスト」でさらに効率化(前略)
商品名など選択肢が限られているものは、リストを作成しましょう。[データの入力規則]ダイアログボックスからリストを設定します。引数[検索値]の候補をドロップダウンリストから選べるようにすることで、入力ミスを減らす仕組みが作れます。
資材カテゴリー・品名・品番は、関数の引数[検索値]として使用します。
入力ミスが発生しないように、選択リストを作成しましょう。
資材カテゴリーの設定
まず初めに、資材カテゴリーの設定を行います。資材カテゴリー列の先頭行を選択した状態で、「データの入力規則」をクリックしてください。「入力値の種類」欄は「リスト」を選択、「元の値」欄は「あ,い,う,え,お,か,き」を入力してOKをクリックしましょう。
品名の設定
次に、品名の設定を行います。品名列の先頭行を選択した状態で、「データの入力規則」をクリック。「入力値の種類」欄は先ほどと同様に「リスト」を選びます。そして「元の値」欄は以下の数式を入力してください。
=INDIRECT($B4)
数式を入力後にOKをクリックすると、B4で選んだ資材カテゴリーに該当する品名がC4の「選択リスト」に表示されるようになります。
Microsoftサポート INDIRECT関数INDIRECT関数指定される文字列への参照を返します。 セル参照はすぐに計算され、結果としてセルの内容が表示されます。 INDIRECT 関数を使うと、数式自体を変更しないで、数式内で使用しているセル参照を変更することができます。
INDIRECT関数を使用することで、先ほど「名前の定義」で設定したセル範囲が「選択リスト」に表示されるようになります。
品番の設定
品番の設定も品名と同様の手順です。「元の値」欄は以下の数式を入力してください。
=INDIRECT($C4)
C4で選んだ品名に該当する品番がD4の「選択リスト」に表示されます。
関数の入力
注文数量の計算
注文数量の列に入力する関数は、以下の通りです。
=IF(E4=””,””,IF(F4=1,E4*F4,IF(ROUND(E4*F4,-1)<E4,E4,ROUND(E4*F4,-1)))))
注文数量の列でやりたいことは、個数と係数の掛け算です。ややこしければ「=E4*F4」で問題ありません。紹介している数式は、「IF関数」と「ROUND関数」を活用することで下記の設定になっています。
- 個数が入力されていない場合、注文数量も空欄にする
- 係数が1の場合、個数をそのまま表示する
- 個数と係数を掛けて1の位で四捨五入した値が個数を下回る場合、個数を表示する
- ①〜③以外の場合、個数と係数を掛けて1の位で四捨五入した値を表示する
できるYOUTUBER式 EXCEL現場の教科書 長内孝平IF関数論理式の真偽によって返す値を変える。引数[論理式]の条件を満たせば引数[真の場合]の値を返し、そうでなければ引数[偽の場合]の値を返す。
=IF(論理式,真の場合,偽の場合)
Excel最強の教科書[完全版] 藤井直弥 / 大山啓介ROUND関数(前略)
ROUND関数を使用して値を任意の桁数に四捨五入します。
=ROUND(セル範囲,桁数)
「セル範囲」には四捨五入を行う対象のセル範囲を指定します。計算式を指定することも可能です。また、「桁数」には小数点以下の桁数を指定します。少数第1位までなら「1」、少数第2位までなら「2」、小数点以下を四捨五入するなら「0」を指定します。
製品重量の表示
製品重量の列に入力する関数は、以下の通りです。
製品重量の列は、選んだ品番の重量を表示することが目的です。「IFERROR関数」、「IF関数」、「VLOOKUP関数」を利用することで下記の設定になっています。
- B列の資材カテゴリーを確認
- 資材カテゴリーに該当するテーブルを参照
- D列で選ばれた品番をテーブルから探す
- テーブルから探した品番の行にある製品重量を表示
- エラーの場合は空欄
Excel最強の教科書[完全版] 藤井直弥 / 大山啓介IFERROR関数(前略)
Excelに不慣れな人も閲覧する場合は、Excelのエラー表示のままでは不親切です。このような場合は、IFERROR関数を使用して、一般的にわかりやすいエラー表示にすることをお勧めします。
=IFERROR(セル範囲,エラー時に表示する文字)
「セル範囲」には、エラーになる可能性があるセル範囲(数式を含む)を指定します。
できるYOUTUBER式 EXCEL現場の教科書 長内孝平VLOOKUP関数引数(範囲)の先頭列を縦方向に検索し、引数(検索値)に一致する値を調べる。その値のセルと同じ行で、指定した引数(列番号)に当たるセルの値を取り出す。引数(検索の型)は、調べる値が完全一致の場合は「0」、近似一致の場合は「1」を指定。
=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索の型)
VLOOKUP関数は、名前の通り垂直に調べる関数です。
引数[範囲]は、セル範囲ではなくテーブル名を入力しています。
テーブル名を引数にすることで、テーブル内のデータが増減しても自動で対応してくれます。
総重量の計算
総重量の列は、以下の関数を入力してください。
総重量の列では、注文数量と製品重量の掛け算を行います。紹介している数式は、「IFERROR関数」と「ROUND関数」を活用することで下記の設定になっています。
- G4とH4を掛け算した値を小数第2位で四捨五入する
- エラーの場合は空欄
コピー&ペースト
全ての列でセルの設定を終えたら、最上行をコピーして下の行にペーストしましょう。Excelには色々なコピペがありますが、ここでは単純なコピペで問題ありません。
Excel最強の教科書[完全版] 藤井直弥 / 大山啓介コピペを制すると作業効率が劇的に向上する(前略)
思い通りに効率よく作業を進めるためには、Excelのコピー&ペースト機能を理解しておくことが大切です。Excelには「セルのさまざまな設定のうち、何をペーストする(貼り付ける)のか」を指定できる機能が用意されています。
単純なコピペの場合、罫線がおかしくなるかもしれません。
罫線を再度設定するか、書式のコピぺで対応してください。
オートSUMの設定
最後に総重量の列の最下行でオートSUMを設定してください。リボン「数式」の「オートSUM」をクリックすれば、総重量の列の数字を合計してくれます。
Excel最強の教科書[完全版] 藤井直弥 / 大山啓介SUM関数=SUM(セル範囲)
合計を表示したいセルに「=SUM()」と入力して、カッコ内に計算対象のセル範囲を指定します(関数に指定するセル範囲や条件のことを「引数」といいます)。
以上で全ての設定が終了です。確かに大変な作業ですが、一度仕組みを作ってしまえば今後の業務が楽になるのでぜひ頑張ってください。
Excelを活用して繰り返し作業を省力化しよう
この記事では、足場材の重量計算をExcelで自動化する方法を解説しました。紹介したExcelシートを利用すれば、以下の手順で足場材の注文を簡単に行うことができます。
- 資材のカテゴリーを選択
- 品名を選択
- 品番を選択
- 数量拾いをした個数を入力
- 資材個数の割り増し係数を入力
- 印刷範囲の確認
本記事のExcelシートを利用するメリットは以下の通りです。
- 品番の入力ミスを防げる
- 製品重量を調べる必要がない
- 注文数量の調整がしやすい
以下の手順でExcelシートを作成することができます。
- 品番・製品重量・品名の表作成
- テーブルの作成
- テーブル名の変更
- 品名の抽出
- 名前の定義
- ①〜⑤を資材カテゴリー毎に繰り返し
- データの入力規則設定
- 関数の入力
- コピー&ペースト
- オートSUM設定
本記事で紹介したExcelシートを作成するのは確かに面倒くさいです。私自身日々の業務に追われていたので、作るのを諦めようと何度も思いました。しかしExcelシートを作ってからは、足場材の発注業務が30分以上短縮。諦めずに作成して良かったと心の底から思います。
建設業界では、深刻な人材不足と働き方改革により、生産性の向上が求められています。この記事によって、少しでも日々の業務効率が向上すれば嬉しいです。一緒に業務のICT化をどんどん進めて建設業界を盛り上げていきましょう!